我々投資家は「何故」株式を購入するのか? 日常の喧騒に巻き 込まれてしまうと忘れられがちなこの疑問。初歩的ではあるが、投資する根
本理由をここで再確認しておこう。単刀直入に言うと「資産の増加」だ。配
当金だとか株価の上昇がもたらすキャピタル・ゲイン「見返り(取引利
益)」を獲得するのが投資の理由である。
健全な配当金を給付したり、その株価が上昇する会社は、元来利益をあげている企業である。企業収益が健全成長している会社の株価は、当然かも
しれないが通常は上昇する。投資家は従って、事業収益が右肩上がりで、か
つ一貫して増加している会社を選別する。1にも利益、2にも利益、3にも
利益である。
4にも利益、5にも利益:
成長産業、伸びる企業は多くの利益を生む。どのような産業界に注目し、どのような銘柄を選ぶか、自己資本の運用先を決めるには、まず候補企業やそ の会社が活動する産業界の成長率、収益の増加率、そして将来性を明確にす
ることだ。先ずは、産業界別の成長率であるが、筆者は最近その重要性に新
しく注目している。と言うのは、リサーチ会社という商売柄有名企業、優秀
企業には頻繁に巡り合う。ブランドが良く知られ、また経営者が優秀であ
り、またその業界ではトップの会社は、メディアでも広く取り上げられる。
が、驚くなかれ、こうした会社は必ずしも我々の投資商品としては適当でな
い。というのは、各種社内条件がどれだけ優れていても、その会社が所属す
る市場が商品飽和状態を来している成熟産業であったり(パソコン・メーカ
ー)、外部要因である金利動向などに業績が大きく左右されたり(銀行)、
あるいはガソリンなどの燃料価格が収益を圧迫するような場合(エアライ
ン)、経営者は会社の成績を十分にコントロールできないからだ。
社外の政治・経済環境が大きく業績を左右する優秀銘柄
1)サウスウェスト・エアライン(航空運輸業):優れたマネジメントと、合理的な運営では有名であるが、営業成績はジェット燃料の価格動向に大きく揺さぶられる。
2)シティ・グループ、モーガン・スタンレー(銀行、證券業):両者とも、銀行、金融、證券業界では最優秀の業績を納めており、またマネジメントも優秀、グローバルな活躍をする巨大企業である。が、業績は金利動向に大きく左右される。
3)コカ・コーラ社だとかジレット社:消費財の有名ブランド商品を持ち、経営者も優秀であるが、海外市場の景気振動に弱く、株価は大きく揺れ 動きジリ落ちを続けいる。
4)デルやコンパック社:パソコン市場はほぼ飽和状態。無料配付される時代とり利益増加は期待できない。
我々投資家が取得したり咀嚼できる情報量には限界があるから、どうせ 投資するなら経済環境だとか国際政治、あるいは連邦準備銀行が決める公定歩合などの外部要因から比較的隔離されている独立した産業界を選びたい。
となると、現在の状況下では銀行だとか證券会社など金融がらみ、鉄鋼、消
費財、あるいは繊維、紙パルプ・製紙業、建設業、ケミカル産業、自動車、
そして農業などは避けるべきだろう。
利益が増加している銘柄の発見:
米国企業は毎四半期毎、つまり3ヶ月ごとに業績を発表する。その前の3ヶ月(四半期)の売上高、利益高との比較、および前年同期比で数字が発
表される。売上高の成長も大切だが、最も注目すべき数字は利益増加率であ
る。それも合計利益額ではなく、1株当たりの利益高(EPS: Earnings Per
Share )が大切だ。と言うのは、利益額が増えていても発行株式数が膨張し
ていると、水増しされて株あたりの利益は増えたことにならない。
さらに、この四半期の業績は一回だけに注意していても余り意味がな い。市場の成り行きで、3ヶ月間にはたまたま偶然利益が増加するというこ
とも有りうる。優秀な企業であれば、一貫して少なくとも4・四半期(1年
間)、できれば6,8・四半期(2年間)に渡って、連続して一株あたり利
益が増加していることが望まれる。さて、その増加率だが、投資対象となる
アメリカの優秀企業は前年同期比で少なくとも25%は確保していなければ
意味がない。理想的には50%から100%を越える比率で増加しているよ
うな銘柄を探すことだ。
本メールマガジンで、筆者が紹介する推薦銘柄はいずれも、こうした条 件を満たした企業である。少なくとも数・四半期間に渡って25%を越える
一株あたりの利益増加を計上している優秀銘柄である。本格的にリサーチす
るなら各会社の年報だとか四季報を分析することになるが、7,000銘柄
もある上場企業の財務諸表を片っ端から読了するエネルギーも時間もない。
読者の皆さんでも同様だろう。しかも、文書は皆英語なのだから大変だ。
筆者は、毎日発行されるインベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)と いう 日刊紙(IBD のウェッブサイト・アド
http://www.investors.com/web_edition/today/welcome.html
を利用している。この新聞は、過去15年間位の膨大なデータベースを分析
しながら、利益を中核にした銘柄のランキングを毎日発表してくれている。
例えば、株あたり利益増加率(EPS)が、全銘柄の90%より優れているもの
は、90の指標を与えられる。70の指標なら、その銘柄のEPSは70%の会
社より優れているという意味である。
筆者がこのコラムで紹介する銘柄は、いずれもこのEPSランキングが90以上のものである。もし、より深く分析したい、確認したいという方がいれ
ば、各企業のホームページに行って、そこで投資家向け(インベスターズ・
リレーションズ)サイトにて Financial Data を検索してみてください。そ
うした手間を省くのがこのサイトの目的でもあります。
今週の推薦銘柄:
SDLI : http://quote.yahoo.com/q?s=sdli&d=5d
オプティカル・コミュニケーション機器の開発メーカーで、9月末〆の9ヶ月間で売上高は前年同期比で56%成長、利益は300%近い成長 ぶりだ。
QLGC: http://quote.yahoo.com/q?s=qlgc&d=5d
これもデータ管理面の半導体メーカーで、9月末〆の6ヶ月間で売上高は75%の成長、利益は前年同期比で250%の伸びを示している。
アメリカにはこうした優秀な企業が、少なくとも100銘柄はあります。乞うご期待。「オンラインでアメリカ企業に投資」して、日本の投資暗黒時代を乗り切ってください。
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