1997年の最終四半期、今まで順調に伸びていたデル社の株価が横ば い状態に入り、自分は忍耐できなくなった。1998年になって多少挽回し た頃から、デル株を何回かに分けて売却、現金化した。1998年の株価曲
線グラフが示すようにその後も株価は上昇し、今日に至るまでさらに2回ス
プリットした。もし保持し続けていれば、初期購入株数120株は1,920 株
に増え、株価は約 2,600 % の上昇をみた計算になる。
これは取らぬタヌキの皮算用だが。
これまでの経験でも株価が高騰した成功事例は多数あるが、デルほどの業 績を上げてくれたものは他にない。株価の急騰は嬉しいかぎりだが、この優秀銘柄についても振り返れば自分は間違いも犯している。先ずは、売る時期
の選択が1年ほど早すぎ たし、最大の失敗はその成長過程で少しも「買い足し」をしなかったこと だ。
他に、銘柄の選択に失敗して数千ドル、数万ドルの資本を失った失敗例も 多々ある。また、年率で100%を越える見返りを実現した銘柄も多々あ
る。大切なのは総合点であり、単一の銘柄で成功したり、失敗したりしたケ
ース自体は、投資家としての評価を左右するものではない。が、失敗からも
成功からも学び、総じてボトム・ラインで平均以上の業績を維持すること
が、当面の目標だろう。
我が個人株式口座の業績は、年初から本年11月末現在で見返り率80%を越えている。1999年初頭からのダウ工業平均値の伸び率は18%、ナズダック平均値は52% 程度であるから、我が投資手腕は馬鹿にしたもので
はあるまい。特にこの10月中旬のボトム以来、ハイテク株式が急騰したの
で、その波に乗って我がポートフォリオは大変に調子が良い。逆に、高騰し
すぎて不安感もあり、跳ね上がるものを少しづつ売りながら現金化している。
基本方針は、あくまでもファンダメンタルズの健全な企業を探し求め、そ れを適性価格で購入する。さらに、基本条件に変化がない間は忍耐強く値上 がりを見つめていくことだろう。収益も上げていないインターネット株など
に手を出して、只勢いに乗って上昇する株価に飛びつくような危険は冒すべ
きでない。
株式投資の基本レッスン:
1.優秀企業を発見できたら、株価の上昇を眺めて楽しむだけではなく、
基本条件に変化がない限り、買い時を探って買い足していくこと。
2.上昇した株式を何処で売却して現金化するか、その決断は投資家とし
ての正念場。上昇する銘柄を探すのはそれほど困難ではない。売り方ほど難
しいものはない。
3.購入後に急速に下降する銘柄は、できるだけ早く手放すこと。判断を
誤ったこと、失敗したことを認めるだけの勇気を持たねばならない。市場
(マーケット)は貴方が何時いくらで購入したか等、意識もしていない。笑
われる心配などまったくない。記録は貴方だけのものですから、プライドは
ゴミ箱に捨て去り、さっさと身を引くこと。
取引量(ボリューム)に注目する:
ある特定の株価が今後上昇するか、下降するか、あるいは横ばいを維持す るか。それを予測する材料として最も重要なのは、対象企業が達成したこれ までの業績だとか今後の収益見通しである。株式投資の根本的な方程式は、
優れた業績=株価の値上がり
であることを忘れてはならない。が、一方値動きを左右する要素として他に も参考になる数字がある。それは、毎日の売買取引量(トレーディング・ボ リューム)である。我々個人投資家が投入できる資金には限りがあるので、100株、500株、せいぜい1000株単位で売買取引をするのだが、ミ
ューチュアル・ファンドだとか資金運用を専門にするポートフォリオ・マネ
ージャー達は、数百万ドル、数億ドルというお金を毎日動
かしている。そうした機関投資家が、特定の株式を売買すると当然のことな
がら取引量が膨張する 。株価が上昇した時に、取引量も顕著に増加していれ
ば、機関投資家が「買いに出ている」ことが容易に想像できる。逆に、株価
が下落した日にその取引量が平均以上に多ければ、これは大手機関投資家が
その株を手放していることを示唆する。 株価は需要供給関係により毎日値段が上下するわけで、「買い」求めるボ リュームが「売り」のボリュームより多ければ、値上がりする訳だ。逆であ れば値下がりする。機関投資家はそれぞれの銘柄を毎日虎視眈々と見つめ、 経営者にインタビューしたり、
業界のデータを長年分析しているベテラン達である。彼らエクスパートの動
きを判断材料に利用させてもらうのが賢い投資家の戦術である。
機関投資家が特定銘柄を売りにでているか、あるいは買いに回っているか を判断する材料が、値動きとボリュームの関係なのである。
株価チャートの利用法:
株式の値動きを示すチャートは、株価データだけでなく、通常は棒グラフでチャートの下部に取引量を示してくれている。チャートは通常、イントラ デイ(その日の値動き)、1週間のチャート、そして1ヶ月、3ヶ月、1
年、そして3年、5年と色々期間による選別があるが、ボリュームに関して
意味のある判断材料は3ヶ月か1年間のチャートである。顕著に値段が振動
した日にボリュームが増えているか否かを見極めることにより、機関投資家
の動向を探れる。値下がりしている時にボリュームも増加していれば、早い
ところ自分も売りに回る。逆に、値上がりした日に取引量も顕著に増加して
いたなら 需給関係が買い手に有利に動いているわけで、購入するなり買い足しを考え るべきである。
先に述べたデル・コンピュータの例。当時株価動向曲線と同時に取引量の 動きにも注目していれば、売り時を誤らなかったと今反省している。このボリュームに注目することの意味は、最近筆者が「Investor Business Daily
」という新聞の記事から学んだことである。実際に過去2,3ヶ月間この指
標に注目することにより、売り時の判断が
より上手くできるようになった。
先週推薦した銘柄の内の2社、今週は大きく高騰して52週間の最高値をつけています。これらの株式の値動きだけでなく、取引量は下に記したヤフーのサイトにて分析できます。一応3ヶ月のチャートをご欄になり、値動きと取引量の関係を研究してみてください。
SAPE (Sapient )の3ヶ月チャート:
http://quote.yahoo.com/q?s=SAPE&d=3m
VRTS (Veritas Software ) の3ヶ月チャート:
http://quote.yahoo.com/q?s=VRTS&d=3m
今週の推薦銘柄:ティッカーは CTS
CTS Corp. (CTS )という会社をご紹介しましょう。余り一般人には知られ ていない地味な会社ですが、その株価は健全な成長を続けています。各種電子機器のパーツ、自動車業界向けのセンサーなどを製造するコントラクト・マニュファクチャラーです。顧客にはモトローラ、エリクッソン、ノキア、クゥアルコムといった大手移 動体電話、通信機のメーカーが並んでいます。最近の四半期では株価当たり 利益が前年同期比で100%増加、9ヶ月間の比較でも利益は39%伸びています。今後5年間は少なくとも毎年20%は伸びると予測されている優秀企業です。過去半年ほど急騰を続けてきたCTS の株価は、ここに来て機関投 資家の売りが目立ち始め後退する日があります。将来展望は明るいと思わ れ、株価が落ちたときにつかむ価値のある銘柄でしょう。
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