日本でも有名な投資家ジョ−ジ・ソロスの生涯からは
学べることも多い。1930年ハンガリーで生まれたユダ
ヤ人。ナチ・ドイツの圧制の下で身を隠しながら幼年期を
過ごし、戦後イギリスへ移民、ロンドン・スク−ル・オブ・
エコノミックスで学位を取り、1956年にアメリカに移
民してきた。
ソロスは一般常識をさかさまに解釈する投資スタイルで、
次から次へと成功を収め、その資産は膨張を続けた。19
69年にはヘッジ・ファンドを設立、富裕な投資家の資産
を預かってさらにその投資業績を拡大していった。アメリ
カを代表する億万長者のひとりとして実業界では尊敬され
ている人物である。ユダヤ人であるために、また日本では
情報不足と陰謀好きな国民性も手伝って、「何か裏にから
くりのある怪し気な人間」だという見方が多いが、事実は
まったくその逆である。出身地である東欧とロシアを中心
に多額の自己資本を投入して、共産主義の崩壊、政治体制
の自由化に貢献してきた。慈善事業家としても有名で、ロ
シアでは合計1億ドル以上の資産を投じて40,000 人に及ぶ
科学者を支援してきたし、図書館の充実、科学教育の鼓舞、
コミュニケーション・システムの近代化などに寄与してきた。
我々投資家として興味深いのは、ジョージ・ソロスの投資
業績に関する考え方だ。「間違いを犯すことは恥ずかしい
ことだと思う者が多い。が、自分は間違いを認知すること
にプライドを感じている。」良いことを言うではないか、
ジョージ君よ。同感ですね、筆者も。「人間は不完全な理
解しかできないことに覚醒すれば、しくじりは決して恥で
はない。恥じるべきはその間違いから学ばないことにある」
と(IBD, 10/17/2000)。同感です。
ソロスがこれまで出費した国内外の慈善事業への寄付金は
10億ドルを超える。去年だけで 3.5 億ドルを寄付してい
る。「死後の世界までは(お金を)持っていけないからね」
と、この筆者を喜ばせる発言が多い。一度じっくりと彼の
バイオグラフィーを読んでみよう。
長期的な展望の重要性:
本メールマガジンを始めてからまだ1年余りだ。小生の投
資経験は合計で10年ぐらいにはなるが、本格的なトレー
ディングの技術を学んでからは1、2年しか経っていない。
つまりまだ青二才に過ぎず、業績が芳しくないのはこのベ
ア市場では仕方がないことだと自分に言い聞かせている。
ソロスのように、後生では社会に寄付金を大いにばらまけ
るほどの業績をあげられるよう、今後も5年、10年、
20年は頑張ろうと決意している。
ナズダックは 2615、年始以来35%の下落、ピークからは
50%に近い落ち込みだ。過去8ヶ月の酷い市場を振り返
ると意気消沈、諦めたくなる人も多いかと思う。ここで大
切なのは長期的な視点を持つことだ。株式投資というのは
1年や2年で大金持ちになるための博打ではないのだ。5
年、10年、20年をかけて、汗水流して稼いだ自分の資
産を目減りしないよう効率良く増やしていく手段なのである。
長期的な展望が如何に大切か、次の数字を一覧されたい。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙が本年10月10日
に掲載した数字である。
過去10年間(1990 年10月11日以来)のベスト銘柄
会社名 |
株価の上昇率 |
EMC |
83,841% |
Cisco Systems |
75,324% |
Emulex |
39,057% |
Dell Computer |
29,718% |
Semtech |
26,211% |
Oracle |
22,907% |
Siliconix |
13,742% |
Comverse Technology |
13,477% |
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