「9月よ」、去って行ってくれてありがとうよ。2度と貴方の顔は見たく
ないからね。そう言って別れを告げたくなる1ヶ月が終わりました。9月の初旬には
4200台にあったナズダック指標は、今や3600台。この4週間で600ポイン
トの下落は予測できなかった。景気の過熱化を避けてアメリカ経済はソフトランディ
ングできそうだし、金利の上昇も止まったし、また企業の業績は順調に伸びていくと
予測された。大統領選挙のある年の株は上がるという歴史的なデータもある。春の大
暴落を背景に、本格的な回復が始まるという楽観的な見方が多かった。総じて株式市
場の下落を告げる要素は少なかったのに。
我が愛読する投資家用の新聞インベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)も、振り返って読んでみて、この下落を予測できていないことが判明。自分だけではなかった。この新聞も証券界者のアナリスト達と同様、依存し過ぎるのは危険なことを再確認した。やはり、売買の判断は自分一人でやらざるを得ない。独立独歩、損をするのも金もうけをするのも、一切が自分一人の責任である。連銀や大統領を責めたりせず、また日本の大蔵省や日銀、経企庁や郵便局を批判するのではなく、自分の力で未来の富みを築く。それがアメリカ株式にオンラインで投資する我々の人生哲学でる。と、大赤字をだしながら、涙がこぼれるのを「上を向いて」防ぎながら、勇気を絞って生きている筆者です。
100%現金化できたか:
株式購入のタイミングとしては、優秀銘柄が新しく高値を更新する時点をつかむ。下
がっているものには手を出さない。実質的な利益をあげたら市場のぐらつきを見て、
売りにでる。また購買したものが、その購買価格から7〜8%下がったら、ロスをカットすべく素早く手放すこと。市場が下落中に、底を予測して買い足すようなことは絶対にやらない。といった、投資の基本原則を筆者はくり返し皆様読者にアドバイスしてきました。これらの原則を守っていれば、当然のことながら本日までには株式は100%売却して、すべて現金化できているはずです。毎日の下落を横目で眺めながら、他人の失敗に同情しながら、そして底で飛び込み、再び大儲けするチャンスを狙っているはずですね。
さて、その筆者自身、つまり小生はこれら投資の基本原則を守れたかと言うと、お恥
ずかしいながら少しも守れていないのであります。底を予測して、つまり確認せずに
下がりぎみの株式に手をだし、損をすると買い足しする(アベレージング・ダウン)
という「やってはいけない」禁則をやぶってきました。しかも、マージン取り引きと
言う借金をしながらのハイリスク投資ですから、業績は最悪。今年の春をも下回るど
ん底にあります。
成功恐怖症に苦しむ賭博師:
自分の行動は賭博師的なものであったと反省しています。今年の夏は、ストリーミン
グ・クォートという刻々と変化する銘柄の値動きをモニターできる機能を備えたべロ
シティーというソフトを導入しました。その臨場感溢れる画面を眺めていると、上下
振動する値動きを予測して、容易に金もうけができそうな幻像(錯覚)に襲われます。例えば、朝9時30分に市場がオープン、注目している優秀銘柄が市場の下落とともに落ち込み、前日の終値が50ドルだったのが、46ドルまで下がっているのを確認します。もともと入手したいと思って注目していた銘柄が安くなったわけですから、興味を引かれます。46ドルで横ばい状態が続いていると、チャートを確かめながらもしかすると「底をついた」、「ここから回復が始まるのではないか」という自己本位の楽観的な観測をする。50ドルに回復すれば、1000株購入して一気に4000ドルの利益を獲得できると「よだれをたらす」わけです。これが賭博師の心理 です。
資産を失う最高の早道は、こうした博打・打ち的な行動でしょう。前回も告白した
「成功恐怖症」という心理的な欠陥に悩んでいるのではないかと、自分の行動を信じ
られない自己嫌悪感を味わっている今日この頃です。反面教師という気の効いた表現
がありますね。このメールマガジンの記事は、「やってはいけないことをくり返した」反面教師の教訓としてご利用ください。
テクノロジー株には厳しい環境:
スティーブン・ジョッブスが社長に復帰して、起死回生の勢いで伸びていたアップル・コンピュータが突然業績の悪化を予測する記者発表。金曜日1日でその株価は半分以下に大暴落しました。9月に下がった銘柄には、他にもテクノロジーを代表する大手が名前を列ねています。半導体の最大手インテル社は、9月に45%程度の下落をしています。パソコンの超優秀会社デル・コンピュータは9月以来25%前後の落ち込み。ネットワーキングの王者的な存在であるシスコ・システムズ社でさえ15%は落ちている状況です。容易に金もうけができる市場でないことは明々白々です。
悪い市場でも100%伸びる株はある:
10月2日付けのインベスターズ・ビジネス・デイリー紙には、この劣悪市場であっ
ても大きく値上がりする銘柄が存在することが報道されています。その事例には、筆
者が本マガジンで紹介したり推薦してきた銘柄も数件含まれています。以下の通りで
す。
Elantec Semiconductor (ELNT) : 190%
Applied Micro Circuits (AMCC) : 116%
Network Appliance (NTAP) : 110%
Siebel Systems (SEBL) : 99%
Advent Software (ADVS) : 97%
銘柄の後の%数字は、5月末から9月末までの4ヶ月間の値上がり比率です。筆者は
これらの銘柄を過去数カ月の間に、何回も売買してきました。多少の利益をあげると
早いところ売り払ったために、この4ヶ月間の素晴らしい見返りをエンジョイするこ
とはできませんでした。つまり、忍耐心が不足、出入りが多すぎた。と、反省してい
ます。要するに優秀銘柄のファンダメンタルズを信じることができるなら、多少の値
下がり振動で自信を失うことなく保持し続けるべきだ、という新しい原則を裏付ける
事例がここにあります。
銘柄の選択はまちがっていない。自分は売買のタイミングで大きな間違いをしてきた、という判断ができます。
さて、これからの3ヶ月、年末に向けて業績を改善できるかどうか。腕の見せ所、本
記事を執筆し続ける価値があるか否か、運命を決定する期間です。今までの行動の欠
点を捨て去り、新しく「基本原則により忠実な行動」がとれるかどうか。また機会を
みながら報告していきます。
読者の皆様も、心身の健康に注意しながら、楽しくアメリカ株式に投資をしていって
ください。時には、現金の形で資産を保持することも戦略の一つであることを記憶し
ながら。
ご案内:
今まで「週刊」での発行を心掛けてきましたが、すでに提供すべきアドバイスも出尽
くし、また本人の業績そのものがほめられたものでもないので、今後は基本として2
週間に1回、つまり「隔週」で発行していくつもりです。ご了承ください。
我がメイルのアドレスは、[email protected] です。ご質問、ご感想、アドバイスなど
お寄せください。できるだけ即座に回答を試みます。また我がウェッブサイト (
www.odani.com )では、過去数ヶ月分の本誌バックナンバーをご覧になれます。
ウェッブサイトの改良も始めます。新しいタイプの記事連載も企画しています。乞う、ご期待!!
本文筆者の昨年度(12月末)の投資業績は、282 %でした。2000年1月1日から今日
(9月29日終値)までの成績は - 48.12 % です。ほぼ半分に減ってしまいました。
同情してください。(自己資本金額を基準にした比率です)(来年度の所得税の推定
額も四半期ごとに差し引いています。一度にキャピタル・ゲインを払うのはしんどい
ので)。本無料メールマガジンの現在の購読者数は、1, 595人です。(前回比、9人
減少、悲しいですね、読者を失うのは。)
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