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29.  最近の失敗と成功事例

夏の投資シーズンの開始だ。今から秋のレイバーデー(9月の第一月曜日)までの3ヶ月が、アメリカではサマー(夏)シーズンとされている。伝統 的に余り投資には向いていないとされる季節に入った。メモリアル・デーという戦役軍人に敬意を評する祝日が月曜日にあり、筆者は先週の金曜日から 5日間の長期休暇を頂いた。発行が遅れたことお詫び申し上げます。本日、5月31日久しぶりに株式市場に戻った。月末でもあり、また下げ市場が始まってから約3ヶ月が経ったので、自己の立場と市場環境を見直すことにした。

総じて先週号で論じた環境には「変化なし」と言える。5月30日(火)にナズダック市場は254 ポイント、7.94 % と言う歴史上最高の上昇を見せたが、その取引額(ボリューム)は相変わらず貧血気味で、大手機関投資家の 参加がないことを示している。言い換えれば、専門家筋はまだナズダックが 底をついていないと見ていることになる。大手投資家による「買い」が入ら ないかぎり、市場の本格的な回復はありえない。

と、言ってもまったく株式を保有せずに資金をすべて現金の形で保持しているのは面白くない。知性に従うならしばらくは投資はしないほうが安全 なことは判っているが、人間の弱いところ、ついつい「安い」と思う銘柄に手が出てしまう。筆者は先週の下げの日にも多少買い込み、マージンはない ものの、現金でぎりぎりまで買い込んだ状態にある。また大きく落ち込む匂いがしたなら、身軽にすべて売り切らねばならない。

そうした緊張感を持ちながら、休暇の最中にもケーブル・テレビのCNBCを眺めていた。4月、5月期に買い込んだ銘柄の内、今振り返って、成功したものと失敗したものの2種類に分類してみよう。

買いが早すぎた、失敗銘柄:

シスコ・システムズ (CSCO) :平均値59ドル前後で買い込んだ。現在57ドル前後、先週の底では50ドルにまで落ち込み、機関投資家の売りが続いて いる銘柄だ。3月末には80ドルを越えるピークに達し、その後じり下がりを続 けている。インターネットの普及には不可欠な機材を提供する最高のブルーチップ株だが、そのP/E 比率が150前後にあり、値段が「過大評価されている のではないか」という不安感が漂っている。シスコが底をつく日が、恐らくナズダックの底値になる可能性が高い。株式市場の健康状態を示す一つの指標銘柄である。優れたマネジメント、過去の一貫した成長業績、インターネット革命の継続などを考えるとシスコの将来性はバラ色なのだが、そんなフ ァンダメンタルズに拘らず、大手機関投資家が売りに回ると、その大波には 抵抗できない。自分も「売り」が完結するまで待つべきだった。

クゥワルコム (QCOM ) :3月下旬には160ドル、ピーク時には200ドルに 達したワイアレス通信技術の会社。4月の下げ相場では95~110ドルの間を前後して、他のテクノロジー株に比べてその下げ具合は健全であった。90ドル前 後で底をついたと判断した筆者は、何回かに分けて3,500株を買い込んだ。平均買値は 92. 36 ドル。それが「あれよあれよ」と言う間に暴落が続き、先週は一時期60ドルまで下がってしまった。現在66ドル前後。30%前後の下落である。ナズダック市場の大幅な上昇が始まった去年の10月頃の値段に落ち込んでいる。大失敗中のダイシッパイ例である。成長分野の最先端技術を保持する有名会社。専門家の評価も高いのに安心したのが失敗の始まり。フ ァンダメンタルズが優秀でも、ベア・マーケットでは一刻とも安心できないことを教えてくれた。

「安い」という判断ほど危険なものはない。下がっている銘柄には、そ れなりに自分には知らされていない理由があることを念じておかねばならな い。以前から欲しいと思っていた優秀銘柄が値下がりしていると、つい「買 いの時期だ」と思って飛び込む。すると、ますます下がり続ける。といった 失敗のパターンを筆者は何回か繰り返してきた。こうしてその失敗事例を読者に告白することにより、自分への戒めとしている昨今です。

失敗ばかりではない。この下げ相場でも、大きく落ち込んだ所で買い込んで成功しているものもある。

成功した買い物:

ベリタス・ソフトウェア (VRTS ) :5月12日市場が暴落した日、市場が閉まる30分前、火事場泥棒に似た気持ちで大暴落したベリタスを500株、85ドルで買い込んだ。すると数分内に回復して、その日の終値は89.5ドルで自分の幸運と投資手腕に自信を持たせてくれた。その後も数日間で110ドルを越えるところまで回復、この銘柄への愛情を深めた。その後は例によってジリ下がりを続け、5月23日株価が93ドルに戻ったところで、このどん欲な投資家は更に1000株を買い足した。本日現在の値段は、116.5ドルであるから、総じて 29%程度のゲインを保有している計算になる。先ずは、成功事例だろう。今後の戦略としては、こうして上下振動しながらも、需給関係にバランスがあり、ある程度まで下がると大手の買いが入る銘柄に集中することにしている。ベリタスはそんな自分のお気に入り銘柄である。

SDL Inc. (SDLI) :光ファイバー通信網の稼働効率を高める機器のメーカ ーで、現在最も注目されているハイテクノロジー株の一つだ。筆者は、去年 から何回か売買してその度にかなりのキャピタル・ゲインを頂戴してきたお 気に入り銘柄の一つである。が、ナズダック市場の暴落が心配された4月頃、すべてを売却していた。が、過去3ヶ月の値動きチャートをみると、この銘柄は4月の初旬に150ドル以下の底値を2,3週間体験して以来、200ドル前後まで 回復しているのに気がついた。つまりこの銘柄への需要は増加していることをチャートが物語っている。そこで市場が下落している日に思い切って170ドルで500株購入した。その後少しは落ちたものの回復 に回り、現在は226ドルを超えている。これも極めて短期に33%を越える見返りを生んでくれた。また下がり市場で買い足しを考えている銘柄である。

SDL 社の1999年度年次報告書が、2週間程前手元に届いた。眠れない夜、その報告書を読了して右肩上がりの業績を示す、この会社の長期展望にも自信をつけた。アニュアル・レポートを読んだ後の総合的な感想が、「これは 大丈夫だ」という感触を持たせてくれる株は余り多くない。売上高は過去4・四半期間に、それぞれ52%、76%、92%、92%と二桁成長、しかもその数字は増え続けている。利益の成長率は、同時期それぞれ350%、214%、220%、175%といった成績だ。

このような急成長企業は、他に余り事例がない。市場全体が落ち込んだ時 に、つられて落ちる日を狙って買い込んでも大丈夫な銘柄だろう。次のブル・マーケットのリーダー銘柄になる可能性が高い。

シスコにしても、クゥワルコムにしても、ファンダメンタルズは健全な会社だ。が、下げ相場では風呂桶の汚水とともに赤子も捨てられてしまう。しばらくは市場の値動きには抵抗せずに、上がり気味の銘柄に便乗するのが安 全な投資手段だろう。まだまだ底は見えていないことに注意しよう。さらに 酷い夏がやってくるかもしれない。読者の皆様、筆者のように「安さ」に誘 惑されないようご注意ください。一方、購入を考えるなら多少高いなと思っても、上がり気味の銘柄に注目してください。

良いサマーをお過ごしください。

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本文筆者の昨年度(12月末)の投資業績は、282 %でした。2000年1月1日か ら今日(5月31日終値現在)までの成績は- 23.45 % です。(自己資本金額を基準にした比率です)

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