何が優良銘柄かは、過去に何回か説明してきた。売上高、そして利 益が毎四半期ごとに過去2,3年間は順調に上向きで上昇しているもの。産業 自体が全般的に拡大成長している市場にある企業。それぞれの産業界でリーダー格にあるもの。特殊な優れた商品なり技術を保有している会社。経営者の経験が豊富で、経営手腕が優秀なこと。経営者が保持する株式比率が少な くとも数%はあるもの。そして、機関投資家が購入しているもの。といった 所が主要な判断条件になる。
バイ・アンド・ホールドの投資戦略は時代遅れ:
昨今のナズダック市場の上下振動はますますその激しさを高めており、過去には投資の基本方針としてしばしば主張されてきた「バイ・アンド・ホールド」、つまり一度購入したら引退して資金が必要になるまでは放っておいて、ホールドしていればよい。長年保持していて心配ないような銘柄を購入すればよろしい、というアドバイスは最早通用しないと言える。5年、10年間と長期保持していて心配のないような株式は存在しななったからだ。マイクロソフトやインテル、あるいはシスコのようなブルーチップ株は、そのような性格を保持した優秀銘柄であろうが、必ずしもその株価が安定している訳ではない。どのような 株でも、最近は浮き沈みが激しいし、株式市場全体の上下振動に左右されざるを得ない。明日の技術動向がどう進展するかは、誰も予測しえない。
つまり結論は、過去よりも頻繁に売ったり、買ったりして、自分のポート
フォリオを積極的に管理することが必要になってきている。そのような時間
も関心もないのであれば、ミューチュアル・ファンドを購入して、専門家に
運営を任せておくのに限る。でも、例え数千件もあるミューチュアル・ファ
ンドから優れたものを購入しても、その投資業績は株式同様年々浮き沈みが
あるから、まったく放っておくわけには行かない。要するに平均以上の業績
を上げるには、かなり積極的な自己管理は避けられないと言える。
買いのタイミングとチャートの読み方:
このメイル・マガジンというメディアの一つの欠点は、グラフィックスを
表示できないことだ。チャートをここに移転して説明できないのが残念だ
が、できればここでの記述は下にハイパーリンクするウェッブサイトを参照
しながら読んで頂きたい。事例として、先ずは Advanced Digital 社を上げ
よう。ティッカーは、ADIC である。
ヤフーのファイナンシャル・サイトで、ADIC の3ヶ月チャートを見て頂きたい。 http://quote.yahoo.com/q?s=adic&d=3
この会社のファンダメンタルズが優秀なことは、過去の推薦銘柄にもあ
り、詳しい説明は省く。筆者は、去年の秋から購入し始め、少なくとも2倍
(100%)の業績を上げているお気に入りの銘柄の一つだ。優秀な銘柄だから
と言って、何時でも購入して良いものではない。最高の業績を上げるには、
株価動向をチャートで見つめながら、ピークからジリ下がりしてコンソリデ
ーション期(地固め期)に入った時に購入する。ADIC の過去3ヶ月間では、1
月の前半に急騰して25ドルから30ドルを超える上昇を見た。その上昇期には、購入してはならない。しばらく待って、ピークから落ち始め1月29日前後にジリ下がりの状況が続き、25ドル前後で底をついた。2月中旬には30ドルまで回復している。買いのタイミングとしては、1月29日からの1,2週間ということになる。つまり、高騰するものは追い回さないこと。一度株価が落ち着いて、売り買いのバランスが維持され、売り手がいなくなった頃が、買いのベストのタイミングなのだ。ADIC のチャートに戻ろう。さらに、2月の後半では35ドルから50ドルまで高騰している。この時期は買いのシーズンではない。50ドルに到達してから今日まで、40ド ルと50ドルのレンジを上下している。
ファンダメンタルズを調べ直して、会社の将来性に自信があると思えば、
ADIC の株価が40ドルに近いところで買いを入力、次の上昇気流に乗るのを楽
しむことができるだろう。
同様にクウァルコム社(QCOM)の3ヶ月チャートを参照して欲しい。 http://quote.yahoo.com/q?s=QCOM&d=3m
ピークに高騰したのは、去年の暮れ、新年前後で200ドルを切った。が、
その後今まで3ヶ月近く狭いレンジを上下している。この時期を専門家はコン
ソリデーション期と呼んでいる。つまり、売り買いのバランスの形成期なの
だ。売り手と買い手の関心がほぼバランスを保っているわけだ。会社のファ
ンダメンタルズに変りがなければ、つまり優秀な会社であれば、売り手が急
減する時期が来る。その時に、買いの需要が高まり株価が次の上昇気流に乗
るわけだ。筆者は、この銘柄は回復まで時間がかかりそうなので一度売り払
ったが、最近また天井を破りそうな気配を見せているので、購入を考えてい
る。
売りの判断材料:ピークの読み方
株価がどこでピークに到達するか、それが読めれば成功を保証されているよ
うなもので、苦労も勉強も必要ない。が、いくつか売りの時期を判断する材
料はある。まずは、取引ボリュームだ。株価が落ち込む日に、その取引量を
チェックしよう。もし、平均かそれ以下のボリュームなら、余り心配するこ
とはない。が、落ちる日のボリュームが平均より2倍、3倍も多い時は、警戒
警報だ。大手の機関投資家が売りに出ている証拠である。彼ら専門家は、会
社の経営者に面会したり、業界のニュースは早く入手し敏感だし、研究も長
年続けている。彼らが売りに出ているものは、ボリュームが大きいからさら
に下落する可能性が高い。そんな時は、自分の自信や誇りは捨てて、売りに
でる のが寛容だろう。
もう一つ、クライマックス的な高騰をするものには要注意だ。ここで最近
筆者が経験した1例を挙げよう。シリコニックス(SILI)という会社の3ヶ月
チャートを見て欲しい。 http://quote.yahoo.com/q?s=SILI&d=3m小生は1月の中旬に購入した銘柄であ る。50ドル以下で購入、一ヶ月後には75ドルまで上昇、そして、3月の初旬にクライ マックス的な高騰を毎日見せ始めた。通常、1日の内に15%、20%も上がる株は大抵多少売って現金化するのだが、その前に他の銘柄で何回か売りが早や過ぎた苦い経験をしていたので、これは最高頂上に到達するまで保持しようと、毎日の値上がり を楽しみながら、一切売らなかった。50ドル以下の銘柄が2ヶ月足らずでスプリットして150ドルを越えたのだから、楽しいバラとワインの日々であった。が、ご存知のように3月中旬のナズダックのスランプにひっかかり、株価はほんの2,3日の内に3分の1の下落をした。
売りは常に「早すぎるか、遅すぎる」のがあたりまえ:
絶対のピーク、頂点をつかんで「売り」を果たせるなどということは、先
ずありえない。ゴルフでのホール・イン・ワンより、確率は低い。これは自
分も最近気がついたことで、「絶対のピークで売ろう」などという野心は持
たない方が心理的によろしい。売りは、後で見れば、必ず早すぎるか、遅す
ぎるのだ。肝腎なのは、そのピークをミスしたことで自分を叱り、いじめる
のでなく、素直に身軽に行動して、売りにでることだ。クライマックス的な急騰は、必ずどこかで終わるのだから、多少早すぎても自分で満足できる利益を上げたなら「知足」、つまり足るを知る、潔く利益を獲 得しよう。何時でも買い戻しはできるのだから。一度売ったならガールフレンドを捨てたような気持ちになる人がいるが、それは間違い。何時でも買い 直して、おつきあいを再会できるのが株式投資だ。
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本文筆者の昨年度(12月末)の投資業績は、282%でした。2000年1月1日から今日(3月24日現在)までの成績は87.99%です。(自己資本金額を基準にした比率です)。
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