ニューヨーク證券市場では、金曜日(2月25日)ダウ工業平均値
が去年の10月の底値である10,000を大きく下回り、心理的に大きな打撃を加
えた。1月1日以来のダウは、14.2%の下落となった。大手企業500社の指標
であるS&P 500 も20ポイント以上下がり、年初から9.2%の下げとなっ
た。一方、ハイテク株が多いナズダック市場は、多少下げたものの水曜日、
木曜日と史上最高値を更新して、上記2市場とは全く反対に上昇曲線を描き
続けている。
新・経済株と旧型・経済株への2分裂:
インターネットだとか高速通信技術に代表されるニュー・エコノミー銘柄
と、煙突産業だとか「レンガとモーター」から構成される、あるいは不動産
資産に縛られた旧態依然たる時代遅れの産業との間に、区別が明確化してい
る。グリーンスパン連銀議長による金利引き上げの影響をもろに受けるの
は、銀行融資に運転資金を依存する旧産業である。一方、ベンチャーキャピ
タルに依存したり、あるいは収益が増加中で余り融資の必要を感じていない
ニュー・エコノミー企業は、金利のじり上がりの影響は受けにくい。という
判断の元にダウが急降下する一方、ナズダック株は相変わらず元気が良い。
去年の10月以来ナズダック株の全盛時代が今でも続いている。
2市場の隔離悪化には要注意:
とは言っても、このまま上下・正反対の方向に進む2経済セクターの株価
隔離が、今より更に悪化するとなると、不安感は高まる。どこかでゴム紐が
切れるように、ダウの低気圧とナズダックの上昇気流がその分離現象にがま
んできなくなり、一大方向転換が起こるだろう。それが来週になるのか、3月
か、5月か、あるいは6月か想像できないが、少なくとも今から6月末までの3
ヶ月間は、暴落の可能性高く要注意だ。警戒警報をここで発信したい。大き
く株価が動くとすれば、今日の金利ジリ上がり環境においては、ダウが突然
回復し始めるよりも、ナズダックが大きく落ち込む可能性の方が高い。
優秀銘柄選択の重要性:
不安感漂う市場における自己防衛戦術の基礎は、日常から成長産業におけ
る優秀銘柄を保有し、モニターしておくことだ。市場がどんなに荒れても、
年間で2倍、3倍に株価が跳ね上がる優秀銘柄はある。どうせ投資するなら、
高いリスクを負うギャンブルは止めて、確実に値上がりが期待される優秀銘
柄に焦点をあてたい。
さて、優秀銘柄とは何か。先ずは、売上高と利益が増加していない限り、
株価は値上がりのしようがない。市場が急成長している産業界には、必ず大
多数の企業に比べてはるかに優れた収益増加を獲得している会社がある。急
成長産業におけるリーダー株、それが優秀銘柄だ。それを探しだすことだ。
バイオとコンピュータ機器とテレコム機器業界:
今日のアメリカで、また次世代の世界市場で急成長が期待されるのは、
1)バイオテクノロジー(前回号参照)
2)インターネットのインフラを提供するコンピュータ産業
(ソフト、ペリフェラル、半導体など)
3)テレコム機器産業(光ファイバー、移動体通信など)
の産業だ。まさにナズダック市場の優秀銘柄がひしめいている産業分野であ
る。こうした業界で、収益が優秀なものを選択する。そして次に大切な指標
として、大手のミューチュアル・ファンドだとか機関投資家がどれだけそれ
らの銘柄を買いに回っているかの判断だ。大手投資家が売りに回ると、サプ
ライがディマンドより増えて、株価は下がってしまう。上がる銘柄は必ず大
手機関投資家が買いに回っているものだ。そのような情報は何処で探すか。
小生はインベスター・ビジネス・デイリーという投資家向け日刊紙に依存し
ているが、他のウェッブサイトでも同様のデータを入手できる。ここで、筆
者が推薦する銘柄は例外なく、機関投資家がお気に入りの銘柄である。
買い時のタイミングも重要:
優秀銘柄だからと言っていきなり飛び込むものではない。少なくとも数週
間は値動きをモニターして、その動き方に馴染むことだ。株価が横ばい状態
の所謂地固め期(コンソリデーション)が終わる頃が、最もリスクの少ない
買い時だろう。急きょ値上がりし始め、52週最高値を超えて高騰する株を後
追いするのは危険だ。頂点前後で買うことになり、さらに値上がりするまで
数週間、数ヶ月待たなくならねばならない。悪くすると20%、50%も下
落してしまう可能性もある。過去の成績がどのように優秀でも、ある日突然
市場環境の悪化だとか、経営者の方針変更、あるいはアナリストのナガティ
ブな分析レポートが発表され、暴落する可能性は常にある。
従って、買い時としては、下落中の時期、また急騰中は避けること。横ばい
の落ち着いた状態が数週間続き、市場環境からして値上がりが始まりそうな
時期を狙うわけだ。このタイミングの判断力を養うことが大切だ。チャート
を常にモニターし、取引量(ボリューム)にも眼を向け、株価の値動きビヘ
イビアーを勉強することによって、そのスキルを磨き上げることができる。
トップ銘柄中のトップ:
不安感漂う米国株式市場のこと、気の弱い方は今年の下半期 (7月以降)
になるまでは、現金化して、サイドラインで市場を見つめているのも一つの
手法だろう。元気と勇気と冒険心の豊富な方々には、以下のようなナズダッ
ク市場でも最高とされるトップ50銘柄中から、さらに筆者が過去の収益増加
率だとか株価動向、そして大手機関投資の支持があるか否かも考慮して選ん
だ7銘柄をご推薦する。特に今買うべき銘柄というよりも、予測される大暴
落した後の底値を狙って購入すると、大きな業績をあげられる可能性の高い
銘柄である。さらに研究できるようヤフーの各銘柄サイトのアドレスも添付
する。
1.クゥアルコム社(QCOM)移動体通信技術のパテントを保持
http://quote.yahoo.com/q?s=qcom&d=3m
2. JDS ユニフェーズ社 (JDSU) 光ファイバー通信機器のリーダー
http://quote.yahoo.com/q?s=jdsu&d=3m
3.インフォシス社 (INFY) インドで海外向けにソフトウェアの受注開発をする会社
http://quote.yahoo.com/q?s=INFY&d=3m
4.ネットワーク・アプライアンス社 (NTAP) ネットワーク用のデータ保管システム
http://quote.yahoo.com/q?s=ntap&d=3m
5.アイ・ツゥー・テクノロジー社 (ITWO) ビジネス間の電子商売ソフト
http://quote.yahoo.com/q?s=ITWO&d=3m
6.シーベル社 (SEBL) エンタプライズ・ソフトの先端会社
http://quote.yahoo.com/q?s=SEBL&d=3m
7.PMC シエラ社 (PMCS) 通信市場用の高付加価値・半導体のメーカー
http://quote.yahoo.com/q?s=PMCS&d=3m
ご質問への回答の試み:
読者の方々何人からか、アメリカ株式の投資を始めたいのだが「どこの証券
会社が一番対米投資に熱心か」、また「どこがオンライン投資に友好的か」
というご質問をいただきました。筆者はニューヨークでシュワッブ證券を介
してオンライン取引をしています。去年の夏までは、電話で売買を発注する
テレブローカーという手法を用いていましたが、8月以来オンライン口座をシ
ュワッブで開いて、以来1,000株までは$29.95、最近は取引量が多いため
に手数料は $ 14.95 に下げてもらってオンライン・トレーディング取引を続
けています。日本での対米投資については、そんな訳で残念ながらほとんど
情報がありません。何人かの読者から寄せられたご親切な情報によります
と、大和證券( 大和ダイレクト)が比較的進んでいるとのこと。また、米国
系のオンライントレーディング専門会社数件が、行動を開始しているはずで
す。デイテック(DATEK)證券で口座を開いたという読者もおられました。一
般に古い形の日本のブローカーではなく、米国系のオンライン専門会社なり
そこと提携している日本企業を選ばれることをお勧めします。経験も智慧も
サービスもはるかに純日本勢を上回っているはずです。本年1月7日号の本マ
ガジン、第9号の最後尾に7社ほど在日本の證券会社名とウェッブサイトのア
ドレスを上げておきました。ご参照ください。
お願い:今後読者の方々に、より有効なアドバイスをできるよう、皆様によ
る日本の證券会社を介した対米株式オンライン取引の経験談をお寄せくださ
い。フィーだとか、取引する際の金額的な、また時間的な条件だとか、お知
らせくださると幸甚です。そうした證券会社間のサービス内容を比較検討す
ることにより、さらに顧客のニーズを満たせる会社を育て上げることができ
ると思います。皆様読者のご協力をお願いすると供に、筆者からここで皆様
の投資活動に心からのご声援をお送りします。
我がメイルのアドレスは、[email protected] です。ご質問、ご感想をお寄せ
ください。
本文筆者の昨年度(12月末)の投資業績は、282%でした。1月末期では、
ほとんど横ばいで1ヶ月間は損得なし、2月に入ってからは72%の高騰で順
調です。従って、1月1日から今日(2月15日現在)の成績は72%というこ
とになります。
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友人や同僚の方々に本マガジンをご紹介ください。読者数が増えれば増える
ほど、日本の対米投資家の業績も高まり、市民の生活も豊かになるはずで
す。「自分だけが利益を上げれば良い」という時代は終焉しました。良いも
のは、積極的に同胞と分かち合いましょう。
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