アメリカ株式に投資しよう。さて、その準備段階として、ここで
どんな情報が存在するのか、投資家にとって資金よりもはるかに大切な「信
頼できる情報源」を紹介しよう。先ずは、投資対象としては株式に限ること
にする。一つの基本的な選択肢だが、我々素人が投資する商品は優良株式銘
柄に限るべきだ。他にもオプションだ、デリバティブだ、さらに財務省債
券、地方自治体や民間企業が発行する公社債、あるいは小麦、コーヒーに代
表される商品(コモディティー)、コインだ絵画だ、金・銀だ、さらには為
替取引など金融商品は沢山ある。いずれも十分経験を積んだ専門家は大きな
利益をあげうる商品には違いない。が、皆様読者を対象にしたこの投資アド
バイス・マガジンでは、最も簡単でかつ、他の金融商品よりも優れた機会を
提供するアメリカ株式だけに焦点を絞ってお話する。筆者の経験も株式に限
られているので、他の投資商品についてはコメントすらできません。同時
に、投資は株式に限っても十分満足できる見返りを得られることも確かで
す。
政府提出の財務諸表
先ずは、上場企業は皆政府機関に提出することを義務づけられている各
種財務業績データがある。年報(アニュアル・レポート)だとか年4回提示
する四季報などは、連邦政府の證券取引委員会(SEC)に提出されると同時
に、株主向けにすべてインターネット上の各種サイトに掲示される。 「1
0−K」だとか「10−Q」と呼ばれる企業の財務報告書は、容易にオンラ
インで入手できる。社長の給与、ボーナス額から、キャッシュ・フロー、利
益率、競合企業との訴訟係争事を始め、損益計算書まで、要するに投資家が
必要な情報はすべて開示されている。證券取引委員会のサイトで直接入手す
ることもできるが、ユーザーのために使いやすく加工してくれているサイト
がある。(下にアドレス明示)
www.10kwizard.com www.freeedgar.com www.edgar-online.com www.worthnet.com
これら4サイトを介して、いずれも書類が政府にファイルされると同時に、
その文書を我々のコンピュータにダウンロードすることができる。勿論、無
料である。
企業情報提供の専門サイト
全米の上場企業、未公開企業 14,000 社に関する情報をオンラインで提
供するサイトがある。フーバー(Hoover's Inc.)という会社である。従来、
紙の媒体だとかCD-ROM で提供していた情報をオンライン化したものだ。この
会社自体が今年の7月ナズダック市場で上場している。
http://www.hoovers.com/
Hoover's Handbook と題した参考書は、どこの図書館にも備え付けられてい
る基本資料だ。長年の信頼と豊富な情報は、投資家が頼れる情報オアシスの
一つだろう。このサイトに先ずはでかけて、アメリカ企業による情報開示と
は如何に親切で入念なものなのかを初体験していただきたい。
投資家向けのウェッブサイト:
上記のような原資料は、時間のない現代人には分量が膨大で、ある意味で総
括的すぎる。読了するのに時間がかかるので、入念に調査をする余裕のある
人以外には不便である。より簡単に、また迅速に、投資するか止めるかを判
断する際に有効な情報は、以下のようなウェッブサイトで発見できる。
1)ヤフーのファイナンシャル・サイト
http://quote.yahoo.com/?u
このホームページでは、米国市場の市況から、主要指標動向まで、毎
日、毎分の大まかな全体像がつかめる。沢山あるリンクの中から「クォー
ト」をクリックすることによって特定銘柄の、値動き、チャート、過去のP/E
比率、最近のニュースなどへと誘導される。特に有効なのは、その日の値動
きチャート(Intra-day Chart )、1週間分のチャート、1ヶ月分のチャー
ト、そして3ヶ月、1年、3年、5年と、長短あらゆる期間を指定して過去の値
動きを観察できることだ。売買の決定をする際にどの程度の値段なら買える
のか、その日の値動きチャートを見ると、マーケット価格でなく、今から15
分後なり、1時間後の値動きを予測することができる。つまり、現時点の価格
より多少安く値段を指定して、欲しい銘柄を購入することが可能になる。勿
論、その指定値段まで下がるという保証はないが、過去3時間下がり気味の値
段は、15分後にさらに数 1/8 ポイント下がっている可能性が高い。という
具合に、売買効率を高めるには、これらのチャートは不可欠の材料である。
筆者は売買決定をする場合は、先ずチャートを見て指定値段を決めている。
この種のデータは、紙媒体になった形の情報では古くて役立たない。オンラ
インで、リアルタイムで刻々と変化する値動きへのアクセス能力があるから
こそ利用できる。インターネットは個人投資家に与えられた新兵器なのであ
る。ほんの2,3年前にはウォールストリートの専門家だけが独占してい
て、我々一般市民には与えられていなかった道具なのである。これを利用し
ない手はない。何故、筆者が熱心にこれまで無料でこのメールマガジンを発
行しているのか、その一つの理由はこのニューヨークで筆者が体験している
技術革命の恩恵を日本の友人にも分かち合って欲しいという願いからであ
る。
このヤフーサイトでアクセスできる銘柄の値動きチャートは、他のサイトで
も同様に入手できる。それぞれ、特色があり、多少の使い方の違いはある
が、筆者はヤフーのチャートが一番気に入っている。
2)CBS 放送局の投資家用サイト
http://cbs.marketwatch.com/news/
ヤフー同様、極めて豊富な情報にアクセスできる。テレビ、ラジオのメ
ディア媒体の大手CBS 社が誇るサイトだから、情報も信頼できるし、迅速
だ。ベストサイトの一つだと思う。ニュースの分析だとか、企業が発表する
業績データに関するアナリストによる解説などは、特にこのCBS のサイトが
優れていると思う。
3)クィックン・エクサイトの投資家用サイト
http://quicken.excite.com/investments/
これも上記2件のサイト同様に使いやすく、筆者も愛用している。特に
有効なのは、このサイトからリンクできる「ポートフォリオ」のサイトであ
る。自分で関心のある銘柄のティッカーシンボル群を入力することにより、
また自分が保有している銘柄リストでもよいが、それらのポートフォリオを
画面上で作成して、毎日、毎分、毎秒の値動きをモニターすることができ
る。売買結果、つまり自分の投資成績(何%上がったのか、下がっている
か)をリアルタイムで観察できる。この種のポートフォリオ・マネジメント
の機能は、上記2件を始め他のサイトにも存在する。筆者はこのクィックン・
エクサイトのサイトが、自分が利用しているチャールス・シュワッブ證券会
社との提携関係にあることもあり、また使い慣れているので、最も頻繁に訪
問するサイトである。毎日の売買では、まずこの自分のポートフォリオを参
照して、各銘柄の値動き、利益幅、損失幅を確認しながら、何を売り、何を
買うかという決定をくだしている。
4)ライコス/クォート. コムの證券サイト
http://www.quote.com/quotecom/stocks/
このサイトの特色は、最近発見したのだが、上記のような各種指標やチ
ャートが「日本語」で閲覧できることだ。日本の投資家のためには最高に便
利なサイトが発見された。チャートも、日足、週足、月足、分足などの種類
がある。このような日本語の専門用語は、筆者ここで始めて教えていただい
た。大いにご活用ください。言葉の障害が無くなりつつあります。ますます
国境を越えた株式投資が便利にできるようになりました。
これらは、筆者が日常愛用している情報源です。他にも、インターネット株
に限ったサイトだとか、一般ビジネス情報誌であるビジネス・ウィークやウ
ォール・ストリート・ジャーナル紙を発行するダウ・ジョーンズ社が設定し
ている投資家用サイトなど、必要に応じて参考にしているものもある。投資
家用のウェッブサイトは、合計すれば恐らく数十件はあるだろう。が、余り
最初から沢山の情報源を紹介しても無意味なので、先ずは上記4件をフルに
活用してみてください。
今週の推薦銘柄:
今回は、アメリカ経済の生産性を高めている一つの理由で
ある所の「アウトソーシング」のトレンドに乗って成長している、電気・電
子部品、製品の契約製造会社の上位4社を紹介します。いずれも、IBM だと
か、ヒューレット・パッカード、あるいはモトローラ、デル、コンパック、
シスコなど、コンピュータ、コミュニケーション関連の成長企業群にOEM 生
産の能力を提供する会社です。大手販売会社が、商品のデザインだとか、技
術開発、そしてマーケティングに努力を傾注する一方、工場での生産組立は
それだけを専門にするコントラクト・マニュファクチャラーに依頼するの
が、ここ数年の成長トレンドです。その請負メーカーでもトップにあるの
が、ソレクトロン社。日系のエンジニアが経営する業界ナンバーワンのメー
カーです。この数週間株価が50日間の平均値ラインを切っているので、特に
「買い」のチャンスだと筆者はみています。ご自分で、チャートを分析され
てご判断ください。
1)ソレクトロン社 ( SLR )
http://quote.yahoo.com/q?s=slr&d=5d
2)サンミーナ社 (SANM )
http://quote.yahoo.com/q?s=sanm&d=1d
3)ジェイビル・サーキット社 (JBL )
http://quote.yahoo.com/q?s=jbl&d=5d
4)フレクストロニックス社 (FLEX )
http://quote.yahoo.com/q?s=flex&d=3m
オダニ・リサーチはファイナンシャル・アドバイザーでもありませ
んし、特定の銘柄や證券会社の利益を代表するものでもありません。投資家
に代ってポートフォリオを運営することもしていません。コミッション収入
など一切ありません。本コラムは一般投資家の参考になる情報を提供する
「独断と偏見に満ちた戯言」であるとご理解ください。ここで提供する情報
はすべてオダニ・リサーチ社の社長兼主任研究員オダニ・アキラによる10
年間以上のアメリカ株への投資経験に基づいたものです。読者の投資成績が
良くなっても悪くても、責任は負いません。
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