一体我々が求めている「成功」とは何なのか。常識としては、金銭的富とか名声、地位や業績だろう。さらに欲張れば、健康、エネルギー、生きることへの情熱、充足感溢れる人間関係、創造する自由、心理的安定、心の平和、等が考えられる。
インド出身の思想家であるチョプラによると、我々一人一人にはこれらの成功を実現化する、あるいは幸福をもたらしてくれる「全ての可能性が内包されている」のだという。我々自身と宇宙の可能性の間には何の隔たりもない、と。
往々にして我々凡人は、金銭とか地位といった自分の外にあるものを獲得したり、コントロールすることにエネルギーを費やす。あたかもそれが幸福を保証してくれるかのように、感違いしながら。こうした外面指向型の生き方は、幸福のものさしを自己の外に置いているために、常に不安が伴う。金の切れ目が幸せの切れ目、社会的地位の盛衰が心の平和を左右してしまう。このような不安定な生き方には、真の喜びはありえない。
我々に内包されている可能性にアクセスして、内面指向型の生活をできれば、外からのチャレンジに脅かされる理由がなくなる。外からの批判に振動する必要がない。では、どうしたらこの内面の可能性を意識して生きることができるのだろうか。チョプラのアドバイスでは、「沈黙」と「黙想」と、そして「判断しない態度」の3習慣を身に付けることが大切だという。
外からの刺激を退け、人や物から離れて心を静める。沈静した状態に身を置くことによって、内に潜在する可能性にアクセスできる。心の奥底にある平和を感じ取れるよう、30分、1時間、1日、1週間の黙想をする。さらに、日常生活において今起こっている現実をそのまま受け入れる、善悪、長短の判断(評価)を下さずに、あるがままに認知する態度を身に付ける。批判したり判断したりする心は、意識を動揺させる。動揺した心では、我々自身に内在している宇宙の可能性を感じることができない。
このような「禅の沈黙」の勧めに類似した、精神原則をアメリカ人も求めている。心の平和を願う夢は、文化や国籍を問わず、人間万人が持つユニバーサルな価値なのだろう。
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