「人生は難しい」。どんなにハンサムでも美人でも、あるいは天才であろうが有
能なビジネスマンであろうが、世界の大富豪であろうが、皆辛いことや悲しいこと、
失望や怒りに苦しむ時がある。こうして誰にでも訪れる苦渋の時間を我々は、どう過
ごすべきなのか。アレン・クラインによる「ユーモアの治癒能力」(Allen Klein,
The Healing Power of Humor )という本から、ユーモア感覚の大切さを学んだ。
この本の著者の奥さんは、乳癌か何かの大病で死ぬのを待つ状態で病室に横たわる日
が続いていた。夫のクラインが看病に来ていた時、奥さんのエレンさんは「Playgirl
」という男性ヌード写真が一杯の女性用エロ雑誌を開きながらセンターフォールド
(大写真)を切り取って「壁に貼って欲しい」と頼んだ。「病院だから、ちょっとま
ずいんじゃないのか」と躊躇する夫に対して、「気にしないで大丈夫よ。あのプラン
トから大きめの葉っぱを一枚ちぎって、性器の所が隠れるようにカバーすればいいじゃない」と。
さて最初の1、2日は良かったが3日目位から、この葉っぱが乾き始めて少しづつ縮ん
でくる。隠していた一物が少しづつ姿を現すのを見て、二人は笑いこけた。ほんの数
秒間の「くつろぎ」だったかもしれないが、死んでいく妻を前にした短いミニ・バケーションだったと、クラインはこの本の冒頭でパーソナルなエピソードを想起している。
死んでいく愛妻の看病をしなければならないような極限状態でも、人はユーモア感覚
をもって“バランス”を回復できる。著者の奥さんエレンは常日頃から「人生は楽し
むためにある」と言っていたそうだ。
欧米で有名な喜劇俳優とかコメディアンには、とても悲惨な人生体験を経てきた者が
多い。例えば、チャーリー・チャップリンはイギリスの貧民街で育ち、幼い時にお父
さんはアル中で死去、その後母親は気が狂ってしまったという。ユーモア感覚を磨き
あげることによって、チャップリンは悲しい現実のチャレンジを克服してきた。
我々の平凡な人生にもたくさんの障害が訪れる。そんな時、ユーモア感覚を忘れない
で軽く流して生きていきたい。
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