日本では今失業率が急上昇している。アメリカでは幸か不幸か、首切りは会社の
経営状況次第で日常茶飯事だ。こと失職した時の対処法では、アメリカの友人に学べ
ることが多い。
男性は失業に弱い:働く女性には、家族の世話とか子供達の養育等の責任があり、肩
の荷は重い反面、彼女らにとっては仕事だけが「自分の全て」(アイデンティティ)
ではない。一方、働きバチの男性諸君はアメリカでも日本でも同様、仕事と自分が一
体化している。給与とかランク、会員制クラブのメンバーシップとか、乗り回すクル
マの大きさ。首切りと同時に足元からこれら全てのサポートが一挙に取り除かれてし
まう。解雇された時に「生きる意味」を見失ってしまう者が多い。日本では、悲しい
かな自殺者まで出る。
職場は人生にあらず:皆さん、そんな目先だけの近視眼的な生き方は止めにしましょ
う。失業は新しい人生への門出でもあるのです。「失業体験が早く来て、救われた」
というアメリカ人も多い。周りのペースに巻き込まれて昇格だ、昇給だ、より大きい
家だ、新しいクルマだと、競争する必要がなくなって「ホット」している。職場の圧
迫に終われる生活を離れて、ゆっくり自分でものを考える時間ができた、と。人生観
が変わった、優先順位(プライオリティ)も変わったという。なにも毎週末、イタリ
ア料理だフランス料理だと、レストランを歩き回る必要はどこにもない。今の世の中、収入が半分に減っても食べていけないということはない。逆に時間ができて、家族や友人、教会のメンバーと人生を語り、宇宙を考え、人間と自然の関係について熟考できる、と。ティーンの娘や息子達と、ギリシャ神話やヘミングウェイの小説について論じ合える時間ができた、と。
「仕事が全てではない」と、自分に対していつでも宣言できるよう、日頃から準備し
ておきましょう。家族や友人を大切にして、職場の外に趣味を持ち、そして自分独り
になれる時間を設けてください。「仕事人間」より、「宇宙人間」になった方が、逆
に職場での技能や生産性もはるかに高まることは間違いありません。
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